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「震えました…」 10人の正智深谷が終盤の大逆転で関東一に“ミラクル”勝利劇的な勝利に喜びを爆発させた正智深谷イレブン

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劇的な勝利に喜びを爆発させた正智深谷イレブン
[1.2 全国高校選手権2回戦 関東一高1-2正智深谷高 浦和駒場]

 第95回全国高校サッカー選手権は2日に2回戦を行った。浦和駒場スタジアムの第1試合では、開幕戦を制した初出場・関東一高(東京B)と、3度目の出場で初めて初戦を突破した正智深谷高(埼玉)が対戦し、2-1で正智深谷が逆転勝利をおさめた。明日3日に行われる3回戦では、創造学園高(長野)と対戦する。

 まさに劇的な幕切れだった。小島時知監督も「震えましたね。夢じゃないかなと思いました。まだ、明日試合ができることが信じられない。得点、人数、すべてがビハインドで、奇跡ではないですけど形として残ったことが素晴らしいし、監督としてみんなに感謝したい」。指揮官もなかなか興奮が収まらない一戦となった。

 入りが良かったのは、関東一だった。開幕戦の野洲戦のスタメンから負傷したGK内野将大(3年)を含めて4人を変更。DF立石爽馬(3年)を中心に最終ラインから丁寧にパスを回し、MF冨山大輔(3年)を経由して、2トップのFW景山海斗(3年)とFW林健太(3年)へと攻撃をつなげていった。すると前半8分、左サイドをえぐってMF菅屋拓未(3年)が上げたクロスは味方には合わなかったが、これで獲得した右CKの流れから相手のハンドを誘発。冨山が蹴ったPKはGK戸田海斗(3年)に止められたが、こぼれ球に詰めていた林が右足で押し込み、1-0とスコアを動かした。

 1回戦とまったく同じメンバーでこの試合に臨んだ正智深谷は、パスが思うようにつながらず、なかなかシュートまで持ち込むことはできないでいた。それでも、ボランチのMF小山開喜(3年)とMF谷口瑛也(2年)が前からプレスをかけ、スピードあるMF今岡マックス(3年)らが果敢に裏を狙っていった。しかし、前半26分、谷口がルーズボールで競り合ったMF石井賢哉(3年)の頭を蹴ってしまい、レッドカードを受けて退場。直後に今岡を下げて、スーパーサブのFW田島帆貴(3年)を早々に入れ、前線の枚数を減らしてシステムを4-4-1とした。

 10人となった直後は動揺していたようだが、それでも落ち着きを取り戻すと関東一の攻撃を連動した守備で耐え続ける。「相手があのままの布陣だとリズムがいいままなので、狙い目は向こうがドリブルがうまい選手たちを入れたとき。そこで今までとは違うリズムになるからそこだろうと思っていました」。後半開始から不安だった右サイドに右SB清水銀河(2年)を投入。サイドを幅広く使う関東一の攻撃に苦しんだが、後半10分に関東一が開幕戦でドリブルからPKを獲得したFW重田快(2年)を投入してきた。すると、指揮官の狙い通り、相手の攻撃のリズムが変わり始めた。

 ここで正智深谷も手を打つ。後半24分に高さがありヘディングに強いFW上原翔汰(3年)をピッチに送り出す。すると、上原を起点に1人少ないことを感じさせない攻撃を展開し、関東一を圧倒し始める。そして迎えた試合終了間際の39分、小山が右CKからゴール前に入れると、ファーサイドのDF田村恭志(3年)がヘッドで中央に折り返し、混戦となったところをDF金子悠野(3年)が右足で押し込み、1-1。ついに同点に追いついた。

 さらに正智深谷の勢いは止まらず、後半アディショナルタイム2分、右サイドから田島がクロスを上げ、FW梶谷政仁(2年)がヘッドで落とし、上原がPA右からボレーシュート。これが相手DFの手に当たってPKを獲得し、1回戦の立正大淞南戦でもPKを決めていた小山主将が冷静にゴール右隅に流し込み、2-1。残りの時間を耐え凌ぎ、正智深谷が劇的な逆転勝利をおさめた。

「最後にドラマがまさかあるとは思わなくて…」と驚きを隠し切れない指揮官は、「今年は逆転勝ちなんて練習試合を含めてなかったと思いますよ。2試合連続で逆転っていうのは、彼らが力を持っている。彼らが最後まで諦めず戦えたというのは、去年の経験もあるし、本当に自分たちを信じてやっていたのは大したもんだと思います」。明日3日に行われる3回戦では、レッドカードを受けた谷口が出場停止。それでも1回戦で選手権初勝利を飾り、試合ごとにまとまってきた正智深谷の勢いはそう簡単には止まらない。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 清水祐一)
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【特設】高校選手権2016
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2016

遠野が“呪縛”を解き放つ!松山北を下し岩手県勢9年ぶりの初戦突破前半32分に先制点を決めた遠野FW阿部亮太

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前半32分に先制点を決めた遠野FW阿部亮太
[1.2 全国高校選手権2回戦 遠野高2-0松山北高 フクアリ]

 第95回全国高校サッカー選手権は2日、2回戦を行い、フクダ電子アリーナの第2試合では遠野高(岩手)が松山北高(愛媛)を2-0で下した。遠野は明日3日の3回戦で前橋育英(群馬)と対戦する。

 “呪縛”を解き放った。3年連続で1回戦敗退に終わっていた遠野が初戦の壁を打ち破った。同校としても、8年連続初戦敗退の岩手県勢としても、遠野が8強入りした07年度大会以来の初戦突破。9年ぶりの1勝に長谷川仁監督は「だいぶ昔のように感じますね」と苦笑いを浮かべ、「まずホッとしています」と安堵の吐息をついた。

 均衡を破ったのは前半32分だった。DF五嶋一樹(3年)がオーバーラップから右サイドを深くえぐってマイナスのクロス。ファーサイドのFW阿部亮太(2年)がヘディングシュートで先制点を奪った。さらに3分後の前半35分にはMF佐々木渓人(2年)のスルーパスにFW佐々木琢光(3年)が反応。GKとの1対1から冷静に右足でゴール左隅に流し込んだ。

 2点を追う展開となった松山北は後半6分、MF中野潤平(2年)に代えてMF友近圭貴(2年)を投入。同13分には右クロスをファーサイドで受けたMF稲井雄大主将(3年)が角度のない位置から左足で狙ったが、GK菊地将大(3年)のセーブに遭う。同16分、左サイドから中に持ち込んだ稲井のシュートもDF高橋宏輔(3年)のブロックに阻まれた。

 攻勢を強める松山北は後半32分、FW串部太一(3年)に代えてDF林伸樹(2年)を投入し、DF黒河友貴(2年)を前線に上げる。「後ろ(守備)は弱くなるが、黒河を前に上げたほうが相手も嫌だと思った」(渡部晃久監督)というリスクを冒したパワープレー。同39分にはスルーパスに抜け出したDF黒田琉晟(2年)がゴールネットを揺らしたが、オフサイドの反則を取られ、1点が遠かった。

 2-0で逃げ切り、岩手県勢として9大会ぶりの初戦突破を果たした遠野。次の相手は、この日、優勝候補の一角である市立船橋を破った前橋育英だ。「岩手県勢がずっと負け続けてきて、初戦突破が目標だった。次も自分たちの力がどれだけ通じるか。相手をリスペクトし過ぎず、チャレンジャー精神で臨みたい」。長谷川監督は虎視眈々と番狂わせを狙っている。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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【特設】高校選手権2016

4失点敗戦…那覇西DF我如古「もっとできた」、指揮官「力量差以上に点差が」身体を張って、相手を阻む那覇西DF我如古主将(左)

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身体を張って、相手を阻む那覇西DF我如古主将(左)
[1.2 全国高校選手権2回戦 富山一4-1那覇西 ニッパツ]

 2年連続で乗り込んだ冬の高校日本一決定戦。しかし2年連続での“初戦敗退”となってしまった。シード校として3回戦から登場した那覇西高(沖縄)は富山一高(富山)に1-4の敗戦。前半だけで3失点すると反撃は叶わなかった。

 主将のDF我如古盛洋(3年)が「入りの面ではいいと、いけると思った」と振り返ったように、開始5分までは那覇西らしくボールをつないで仕掛けていった。富山一へ挑んだ真っ向勝負。試合は拮抗したものになるかと思われた。しかし開始7分のオウンゴールが流れを変えた。相手のハーフウェーライン付近からのボールが富山一の選手の頭に当たってゴールイン。オウンゴールで先制点を献上してしまった。

 この1点で耐え切りたかったが予想外の失点に動揺したのか、前半24分と34分にも失点。相手のプレスに苦しむとボールを前へ進めず。中盤で失ってはカウンターで押し込まれた。そして立て続けの失点で気がつけば、0-3。我如古主将は「細かいミスや小さいミスが重なって大きくなってしまった。ここまで自分たちのミスで失点することが多く、(全国へ向けては)そこを修正してきたはずが、そこで失点してしまった。まだまだ詰めが甘かったということだと思います」と反省する。

 3点を追う後半も戦い方はぶらさなかった。那覇西の玉城真哉監督が「放り込むのは持ち味ではない」と話したように、つないでは富山一のプレスをかいくぐっていこうとした。プランとしては幅を持たせて縦へ突いていくはずだった。しかし、浮き足だった選手たちは中へ中へと狭いスペースでのパス交換に終始。シュートまで持ち込めない。

 そして後半14分には4失点目。後半37分には右サイドで獲得したFKをMF上原牧人(3年)が直接決めて、1点を返したが時既に遅く、そのまま1-4で試合は終了。1回戦で新潟明訓高(0-2)に敗れた昨季に続く、“初戦敗退”。今大会初陣となった2回戦で姿を消した。

 指揮官は「もっと勇気をもってチャレンジさせてあげることができれば」と悔やむ。「力量さ以上に点差が離れてしまったという感じ。やられ方も全てが想定していた形、中でやられてしまった。してきたことができなかった……」。

 来年は2年連続で全国高校選手権へ出場している現2年生が最上級生となる。経験を積んできた選手たちを擁しての勝負の一年が始まる。指揮官は「1、2年生は悔しい思いを感じたと思う。またチャレンジしてほしい」と語った。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 片岡涼)
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【特設】高校選手権2016
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2016

[MOM2017]遠野FW佐々木琢光(3年)_東福岡に「打たされたシュート」から1年…教訓生かしたエースの一発前半35分に追加点を決めた遠野FW佐々木琢光

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前半35分に追加点を決めた遠野FW佐々木琢光
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 遠野高2-0松山北高 フクアリ]

 GKの動きもシュートコースも見えていた。遠野高(岩手)は先制から3分後の前半35分、MF佐々木渓人(2年)のスルーパスに抜け出したFW佐々木琢光(3年)がGKとの1対1から右足でゴール左隅に流し込む追加点。長谷川仁監督が「チームを勝利に結びつけるゴールだった」と手放しで称える貴重な2点目が、その後の試合運びを楽にさせた。

「GKと1対1だったので、GKの動きを見て冷静に流し込めた」。脳裏をよぎったのは1年前の悔しさだ。前回大会は1回戦で東福岡に0-3で敗戦。当時2年生だった佐々木琢は後半17分から途中出場し、同20分にチャンスを迎えるも、左足のシュートは枠を捉えられなかった。

「東福岡戦で決定機を外したのは自分にとってインパクトが大きかった。ボールが自分に入ったとき、頭が真っ白で、周りが見えていなかった。冷静さを失っていたし、打たされたシュートだった」

 あれから1年。「GKの状況とか、どのコースが空いているかとか、よく見るようになった」と、毎日の練習から1本1本のシュートにこだわってきた。「勝負はゴール前と言われていたし、結果が出せて良かった。自分の勝負どころであるゴール前で去年より冷静になれた」と、1年前の教訓を生かした。

 遠野としても、岩手県勢としても9年ぶりの初戦突破。「岩手県のレベルを上げていかないといけないと思って1年間やってきた。次もチームとしても個人としてもいい準備をして、全国レベルで勝ち上がっていけるようにチームとして戦っていきたい」。05年度に4強、07年度には8強入りした遠野。06年度には盛岡商が岩手県勢初の日本一に輝いた。目指すは“岩手復権”。前橋育英(群馬)との3回戦が、その試金石となる。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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【特設】高校選手権2016
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2016

ベンゼマとC・ロナウドが合体!?“夏の得点王”が好発進…青森山田FW鳴海「個人として夏冬2冠を目指す」チーム2点目を奪った青森山田高(青森)FW鳴海彰人(3年)

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チーム2点目を奪った青森山田高(青森)FW鳴海彰人(3年)
[1.2 全国高校選手権2回戦 鵬翔0-5青森山田 NACK]

 夏の高校総体で7ゴールを挙げて得点王に輝いた。青森山田高(青森)FW鳴海彰人(3年)は、選手権初戦となった鵬翔高(宮崎)戦できっちりネットを揺らし、チームとともに好スタートを切った。

 まず、鳴海にチャンスが訪れたのは前半7分だった。MF住永翔(3年)のパスの流れからPA内に進入してシュートを放ったが、GK原田健次郎(3年)にストップされてしまう。しかし、こぼれ球に反応したMF高橋壱晟(3年)がきっちり蹴り込んで先制点が生まれた。「一発で決められるほど甘い大会じゃない」と好機を得点に結び付けられなかったことに唇を噛みながらも、「FWとして得点は絶対なので、狙おうという気持ちが強くなった」とゴールへの意欲を強めた。

 すると前半23分、GK廣末陸(3年)のロングフィードを自身がすらすと、MF住川鳳章(3年)が前線でキープ。すぐさまPA内に走り込んだ鳴海が住川のスルーパスを呼び込み、「ファーストタッチでいいところに置けた。あとは押し込むだけだった」と右足のアウトサイドで巧みに蹴り込み、チームに2点目をもたらした。

「クラブW杯でベンゼマ選手がアウトサイドで決めていたので、意識しました」と憧れの選手の一人と語るレアル・マドリーFWカリム・ベンゼマをイメージしたゴールを決めると、「レアルが好きなので」と、これまた憧れの選手と語るFWクリスティアーノ・ロナウドのゴールパフォーマンスをマネて喜びを爆発させた。

 初戦は、この1得点に終わった。しかし、前半27分にはチームメイトがオフサイドの判定となり取り消されたものの、高橋のFKをヘッドで合わせてネットを揺らすなど、コンディションの良さをうかがわせる。「目標の全国制覇に向けて一戦一戦頑張りたい」と意気込みを示しつつ、インターハイに続いての得点王に向けて「個人としては夏冬2冠を目指します」と力強く語った。

(取材・文 折戸岳彦)

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【特設】高校選手権2016

[MOM2019]一条DF稲葉大典(3年)_主将の無念背負い…的確なカバーリング光る堅守最終ラインを統率したDF稲葉大典(3年)

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最終ラインを統率したDF稲葉大典(3年)
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 山形中央高0-1一条高 西が丘]

 朴訥な男が声を張り上げた。キャプテンマークを巻き、一条高の最終ラインを統率したDF稲葉大典(3年)は後方からチームメイトを鼓舞した。前に出たがるタイプではない。「普段はあんまり喋らない。苦手です」と自負するが、試合中は観客の応援にかき消されぬよう、腹から声を出した。

「点は前が取ってくれると分かっていたので、後ろは守るだけだった」。80分間粘り強く守り抜き、無失点勝利の立役者になった。光ったのは「スピードが速いのでカバーリングが強み」と胸を張る“武器”。終盤は猛攻にさらされたが、裏への抜け出しを読み、身体を投げ出したブロックやDFラインの好連係で山形中央の攻撃をことごとく跳ね返した。

「おとなしい子なんですよ。本来、リーダータイプじゃない。今日はキャプテンがいないのでみんなが勇気付くようなプレー、ここ一番で止めるプレーを見せてくれた」。前田久監督は成長著しいDFに目を細め、「相手に気持ちよく抜け出させるシーンをつくらせなかった。ディフェンス面の粘りは評価したい」と守備陣の出来を称賛した。

 仲間の無念を背負った。CBでコンビを組むはずだったキャプテンのDF鈴木貫生(3年)がインフルエンザで欠場。前夜に39度の発熱で救急病院に運ばれ、宿舎で静養中。「あいつのために頑張ろうっていうのはありました」。試合前、鈴木からは「頼んだぞ」と激励のラインが届き、そのエールを力に変えた。

 一条は史上初となる3回戦進出を決め、3日に佐野日大高(栃木)と激突する。「勝ち進んでいったら(鈴木が)戻ってくる可能性があるので、そこまで勝てるようにチームみんなで頑張りたい」。歴史を塗り替えた1勝にも浮かれることはなく、「あしたもあるので今日の勝ち(を喜ぶの)はこの辺にしたい」とすでに気持ちを切り替えていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 佐藤亜希子)

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【特設】高校選手権2016
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2016

健闘・東邦も「笑っちゃう」ほどの質と精度、前回王者・東福岡が初戦突破!東福岡高がFW藤井一輝の決勝点によって1-0で勝利

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東福岡高がFW藤井一輝の決勝点によって1-0で勝利
[1.2 全国高校選手権2回戦 東福岡高1-0東邦高 等々力]

 第95回全国高校サッカー選手権2回戦が2日に行われ、等々力陸上競技場(神奈川)の第2試合で昨年度優勝校の東福岡高(福岡)が登場。今大会初戦となった東邦高(愛知)戦をFW藤井一輝(3年)の決勝点によって1-0で制した。東福岡は3日の3回戦で鹿児島城西高(鹿児島)と戦う。
 
 ひたむきに身体を張って最後まで守り抜き、「1試合を通して全員で守備すれば防げるかなと思っていた。みんなキツイ時に足が出たりしたんで1失点で終わったと思うし、体張って守れたなと思います」と振り返った東邦CB小出晴貴主将(3年)だが、同時に独特の表現で王者の強さを説明していた。

「パス一つ、サイドチェンジ……本当に正確で、トラップも、ドリブルも上手かったし、クロスボールも速くて正確なボールがどんどん入ってきて、本当に“笑っちゃう”っていうか、前半の9番(藤井)の子にクロスボールが入って、シュートは外れたんですけど、『こんなボールが入ってくるんだ』という感じで(凄すぎて)少し笑えてきました」

 好プレーを連発した相手の主将を驚した質と精度。前半から東福岡が完全にボールを握って攻め続けた。G大阪内定MF高江麗央(3年)と磐田内定の日本高校選抜MF藤川虎太朗(3年)、日本高校選抜MF鍬先祐弥(3年)の中盤のトライアングルを中心にボールを動かし、ワイドからチャンスを作り出していく。25分には藤川の展開から高江が相手を“笑わせるほど”の高精度クロス。これを藤井が決定的な形で合わせた。

 だが、東邦は横井由弦監督が「規格外の選手。もう一段階上のステージでやれると期待している」と評する190cmのガーナ系CBアピアタウィア久(3年)と小出主将、GK三輪洸大(3年)中心に我慢強い守りで食い下がる。

 東邦は前半を0-0で終えると、後半8分には東福岡の左SB小田逸稀(3年、鹿島内定)の左クロスを逆サイドへ通されて高江に決定的な右足シュートを放たれた。だが、東邦は小出がゴールライン上でスーパークリア。10分にも小出が身を挺してクロスをブロックして見せる。

 それでも東福岡は12分、藤井と並ぶもう一人のエースストライカー・FW佐藤凌我(3年)を右サイドへ投入。「ストライカーを2枚残すことで、シュートチャンスをもうちょっと増やすところもありますし、彼(佐藤)のスピードを活かしたかった」と森重潤也監督が説明する交代策で、攻撃へ重心を傾けた東福岡が16分についにスコアを動かす。

 左サイドの高い位置でボールを持った小田が鍬先とワンツー。エンドラインギリギリからクロスを上げると、ニアサイドへ飛び込んだ藤井がDFの頭上からヘディングシュートを叩き込んだ。

 待望の先制点を奪った東福岡の藤川は「前半は点が取れなくて前へ前へと焦りの部分があったんですけど、点取ってからみんな落ち着いて回せていたんで良かったかなと思います」。その後もチャンスを量産し、高江や佐藤のシュートがゴールを脅かし続ける。だが、シュート精度を欠いたことや、東邦の粘り強い守りによって追加点は奪えず。東邦もMF閼伽井凛平(3年)のドリブルや右SB佐藤友哉(3年)のロングスローなどで何とかゴールをこじ開けようとしたが、シュートゼロで敗退。それでも東邦の横井監督は「最後まで自分たちの力を信じて戦ってくれた。誇りに思います」と選手たちの健闘を讃えていた。

 一方、連覇への重圧の中で初戦突破した東福岡の森重監督は「初戦を突破してホッとしているというのが正直な気持ちです。(連覇へ向けて注目される中での試合が続くが) 自分自身も、選手たちもそこは深く考えずに目の前の一戦を勝ち抜いていくことで、最終的にはそういう目標に到達すると思いますし、足元をしっかり見つめないとインターハイの二の舞いになってしまうので、そこだけはみんな気をつけているところだと思います」と語った。

 昨年度の優勝メンバーである10番MF藤川が「先輩たちが2連覇という目標を残してくれたので、何がなんでも優勝して2連覇したいですね」と語ったように、目標はもちろん2連覇。だが、3連覇を懸けた全国高校総体で無意識のうちに先を意識して初戦で敗れた反省があるだけに、王者は一戦一戦に集中。この日のように、相手を驚かせるような質と精度、個とチームのレベルの高さを発揮して、まずは次の白星を勝ち取る。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
 
(取材・文 吉田太郎)
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【特設】高校選手権2016
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2016

長崎総科大附の注目MF薬真寺は2回戦敗退、大学を経てプロの世界へ(4枚)MF薬真寺孝弥主将(3年)が、中盤で攻守を支える活躍を見せた


選手権初勝利は「すごい試合」、創造学園がラストワンプレーで広島皆実に追いつきPK戦制すPK戦で2本ストップしたGK矢野遥希(3年)

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PK戦で2本ストップしたGK矢野遥希(3年)
[1.2 全国高校選手権2回戦 創造学園高1-1(PK4-2)広島皆実高 浦和駒場]

 第95回全国高校サッカー選手権は2日に2回戦が行われた。浦和駒場スタジアムの第2試合では、4年ぶり2回目の出場となる創造学園高(長野)と、4年連続13回目の出場となる広島皆実高(広島)が対戦。1-1で突入したPK戦の末に4-2で創造学園が勝利した。明日3日に行われる3回戦で正智深谷高(埼玉)と対戦する。

 プレミアリーグ中国で2位に入るなど結果を残していた広島皆実は、地元優勝が期待された全国高校総体でまさかの初戦敗退。その悔しさを胸に今大会を迎えた。積極的な入りをみせた広島の名門は、両ワイドのMF片岡永典(3年)とFW藤原悠汰(2年)が相手の3バックの両脇のスペースを有効に使い、縦へと果敢に仕掛ける。さらに中央のFW安原修平(3年)が相手DFの背後を狙い続けるなど、組織された攻撃で創造学園に襲い掛かった。すると、前半16分に左サイドでFKを獲得すると、キッカーのMF疋田優人(3年)が上げたクロスをDF河野秀汰(3年)がヘッドで中央に折り返し、MF藤井敦仁(3年)が右足で押し込み、先制のゴールネットを揺らした。

 選手権初勝利を狙う創造学園は、広島皆実の攻撃に手を焼いた。それでも、DF青木悠弥(3年)やDF森昂大(2年)を中心に体を張って粘り強く守り、相手が予想以上にシンプルにロングボールを入れてきたこともあり、“想定内”の1点ビハインドで前半を終えた。そして、勝負の後半開始から迷うことなくFW前谷朋宏(3年)をピッチに送り込み、反撃を試みる。

 しかし、3大会ぶりの初戦突破を目指す広島皆実がそう簡単に思い通りにはさせてくれない。広島皆実は後半8分にFKの流れから合わせれば得点という場面を作ると、同10分にはMF畔柳奨(3年)がスルーパスで完全に抜け出し、追加点まであと一歩のところまで迫る。それでも決定打に欠くと、創造学園がFW小林航也(3年)を送り出した後半20分あたりから相手陣内でプレーする時間を増やしていく。さらにお互いに声を掛け合い、集中力を高めて行くと、細かいタッチで前谷が密集地を抜けてチャンスを作り、小林が前線でボールをおさめるなど、攻撃に良いリズムが生まれる。

 だが、時間は1-0のまま推移し、追いつきたい創造学園がパワープレーに出た。後半アディショナルタイム2分、右サイドのFKからゴール前で混戦となったがDF青柳星吾(3年)にクリアされてしまう。時間は残りわずか。右サイド深くでボールがタッチラインを割り、時間的に次のプレーがラストチャンスとなる。ロングスローは弾かれたが、セカンドボールを拾ってつなぎ、右サイドからDF徳武廉(3年)が上げたクロスを森がヘディングで合わせ、同点。直後にホイッスルが鳴り響いた。

 試合は1-1のまま延長戦なしでPK戦に突入する。3人目までGK對川敦紀(3年)の手に当たりながらも全員が成功させた後攻・創造学園は、抜群の反射と読みでGK矢野遥希(3年)が1本目にいきなり止めると、4人目の片岡のシュートも反応よくセーブした。そして、4番手のMF樋口令惟(3年)が冷静にゴール右に蹴り込み、4-2で劇的勝利。ラストワンプレーからその勢いのまま、創部12年目の創造学園が選手権初勝利を掴みとった。

 勝沢勝監督も開口一番、「すごい試合でした。劇的でしたね」と語り、笑みがこぼれた。「最後のところでみんな体を張って戦ってくれたので、後半失点しなかったから、ラスト一本諦めなかったらワンチャンスで取るぞと思っていました。本当にラストプレーで取れて良かったです」。明日行われる3回戦では、練習試合で勝ったことがないという正智深谷と対戦する。「選手権は前評判とかそういうのじゃなく、そのピッチ内でどう戦うかが大事。最後までどんな状況になっても諦めないで戦えるかが大事だと思います」。この勝利に喜んでばかりはいられない。次の試合はすぐにやってくる。2回戦では正智深谷も劇的な勝利をおさめて勝ち上がった。どっちに本当に勢いがあるのか、勝った方がそのまま階段を一気に駆け上がるかもしれない。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 清水祐一)
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【特設】高校選手権2016
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2016

インパクト残した長崎総科大附のU-17代表FW安藤、PK失敗を飛躍の糧に(8枚)類まれなフィジカルをフルに発揮したU-17代表FW安藤瑞季(2年)

2回戦で姿消すも…徳島市立FW郡、2戦連発で存在感(4枚)前線で存在感を放った徳島市立高(徳島)FW郡紘平(3年)

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前線で存在感を放った徳島市立高(徳島)FW郡紘平(3年)
[1.2 全国高校選手権2回戦 聖和学園1-1(PK4-2)徳島市立 NACK]

 第95回全国高校サッカー選手権2回戦が各地で行われ、埼玉・NACK5スタジアム大宮の第1試合では3年連続4回目の出場となる聖和学園高(宮城)と2年ぶり15回目の出場となる徳島市立高(徳島)が対戦。1-1で80分間を終えた試合は、PK戦を4-2で制した聖和学園がチーム初の2回戦突破を決めた。


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【特設】高校選手権2016

強さ示すも栄冠届かず…プリンス九州王者・長崎総科大附はPK戦に泣く(20枚)中盤で攻守の連係を取って、流れを引き寄せたMF山本大樹(3年)

聖和学園FW大八木、粘ってねじ込んだ値千金の先制弾!!(4枚)貴重な先制点を奪った聖和学園高(宮城)FW大八木隆斗(3年)が喜びを爆発させる

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貴重な先制点を奪った聖和学園高(宮城)FW大八木隆斗(3年)が喜びを爆発させる
[1.2 全国高校選手権2回戦 聖和学園1-1(PK4-2)徳島市立 NACK]

 第95回全国高校サッカー選手権2回戦が各地で行われ、埼玉・NACK5スタジアム大宮の第1試合では3年連続4回目の出場となる聖和学園高(宮城)と2年ぶり15回目の出場となる徳島市立高(徳島)が対戦。1-1で80分間を終えた試合は、PK戦を4-2で制した聖和学園がチーム初の2回戦突破を決めた。


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途中出場のMF米田泰盛がファーストタッチV弾!!駒澤大高が高松商下す(8枚)交代直後の後半17分に自身最初のタッチで決勝点を挙げたMF米田泰盛(3年)

徳島市立、健闘及ばずPK戦の末に散る(20枚)PK戦で敗れ、2回戦で姿を消すことになった徳島市立高(徳島)

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PK戦で敗れ、2回戦で姿を消すことになった徳島市立高(徳島)
[1.2 全国高校選手権2回戦 聖和学園1-1(PK4-2)徳島市立 NACK]

 第95回全国高校サッカー選手権2回戦が各地で行われ、埼玉・NACK5スタジアム大宮の第1試合では3年連続4回目の出場となる聖和学園高(宮城)と2年ぶり15回目の出場となる徳島市立高(徳島)が対戦。1-1で80分間を終えた試合は、PK戦を4-2で制した聖和学園がチーム初の2回戦突破を決めた。


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歴史を塗り替えた…聖和学園、史上初の2回戦突破(20枚)PK戦で勝利を収め、チーム史上初の2回戦突破を決めた聖和学園高(宮城)

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PK戦で勝利を収め、チーム史上初の2回戦突破を決めた聖和学園高(宮城)
[1.2 全国高校選手権2回戦 聖和学園1-1(PK4-2)徳島市立 NACK]

 第95回全国高校サッカー選手権2回戦が各地で行われ、埼玉・NACK5スタジアム大宮の第1試合では3年連続4回目の出場となる聖和学園高(宮城)と2年ぶり15回目の出場となる徳島市立高(徳島)が対戦。1-1で80分間を終えた試合は、PK戦を4-2で制した聖和学園がチーム初の2回戦突破を決めた。


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【特設】高校選手権2016

前半だけで3点奪取の富山一、複数セットプレー封印も那覇西に快勝で3回戦へ!!(8枚)富山一高が3回戦進出を果たした

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富山一高が3回戦進出を果たした
[1.2 全国高校選手権2回戦 富山一4-1那覇西 ニッパツ]

 第95回全国高校サッカー選手権大会の2回戦が2日に各地で行われた。ニッパツ三ツ沢球技場の第2試合では富山一高(富山)が那覇西高(沖縄)に4-1で快勝。シード校同士の一戦を制し、あす3日に行われる3回戦・東海大仰星高(大阪)戦へ駒を進めた。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
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【特設】高校選手権2016
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2016

終了間際の劇弾で東海大仰星が逃げ切る、鹿島学園はシュート1本で敗退…(8枚)大阪から乗り込み、声を枯らして応援した東海大仰星スタンドの選手たち

山梨学院、尚志に先制許すもFW宮崎&主将MF小林弾で逆転勝ち(8枚)山梨学院は先制を許すも、後半14分にFW宮崎純真が同点弾を奪うと、同26分には主将MF小林が決めて2-1で逆転勝利

[MOM2020]正智深谷MF小山開喜(3年)_“最悪な状況”から抜け出す劇的PK決勝弾!重圧のかかる重要なPKを決めたMF小山開喜(3年)

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重圧のかかる重要なPKを決めたMF小山開喜(3年)
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 関東一高1-2正智深谷高 浦和駒場]

 試合の勝敗を決するPKだった。1回戦の立正大淞南(島根)戦でも同点の場面でPKのキッカーを務めたが、今回は前半26分に退場者を出した上に、後半39分に同点に追いついた直後と、否が応でも緊張する場面。それでも正智深谷高(埼玉)のMF小山開喜(3年)主将は「全然緊張しませんでした」と強心臓ぶりを見せつけた。

 正智深谷は立ち上がりから関東一高(東京B)に主導権を握られ、前半10分にハンドからPKを献上。これをきっちり決められ、早々に先制点を許した。さらにアクシデント発生が襲う。MF谷口瑛也(2年)のプレーが危険だったとして、一発レッドで退場となってしまう。それでも、チームは崩れなかった。「1点ビハインドで1人いなくなって、サッカーとしては最悪な状況だったんですけど、みんながより一層団結して、10人でも絶対逆転するぞという思いはあった」。

 1点ビハインドで迎えたハーフタイムに、違う部屋で1人泣いていた谷口に「逆転してやるから待ってろ」と告げ、後半に臨んだ。1人少ない中、小山を中心に連動した攻撃を仕掛けた正智深谷は、このまま試合終了かと思われた後半39分に、小山の右CKから最後はDF金子悠野(3年)が押し込み、同点に追いつく。さらに後半アディショナルタイム2分に、FW上原翔汰(3年)のシュートが相手のハンドを誘発し、PKを獲得した。

 キッカーはもちろん小山。だが、県予選決勝、本大会1回戦でもPKを蹴っていたため、前日に小島時知監督と「明日もPKがあったらどっちに蹴ろうか」と話していたという。「県決勝と1回戦でどっちも左に蹴っているので、相手はそれも見ていると思うので、『逆に蹴れば入るんじゃないか』と(監督と)話していました」。

 ボールをペナルティーマーク上に置き、助走を取ると、主審のホイッスルが鳴リ響く。静まり返える浦和駒場スタジアム。小山が落ち着いた助走から右足で言われた通りゴール右に流し込むと、どっと大きな歓声が起きた。「ほんと、あれは快感です」。試合は2-1で正智深谷が劇的勝利。3回戦進出を決めた。

「小山が外すイメージはまったくなかったので、早くそれを現実にしてくれと見ていました。あいつがきっちり決めてくれて、さすがキャプテンだと思った」

 指揮官が全幅の信頼を寄せる正智深谷の主将は、選手権初勝利から2試合連続の逆転勝利も満足はしていない。「選手権でまだ先制点が取れていないので、前半からガツガツ行って先制点を取れるようにしたい。もっともっとみんなを喜ばせたいので、一致団結して、出ているやつが頑張ってゴールして勝てるように頑張っていきたいです」。すべてがビハインドの中、勝利を掴み取り、より一層チームは『一致団結』した。この勢いを止めることなく、正智深谷“旋風”を巻き起こしてみせる。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 清水祐一)
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