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吉田麻也が現役引退の楢崎&中澤に言及「ずっと背中を追いかけてきた」公式会見に出席するDF吉田麻也

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公式会見に出席するDF吉田麻也
 9日のアジアカップグループリーグ初戦でトルクメニスタン代表と対戦する日本代表は8日、アブダビのアルナヒヤーン・スタジアムで公式練習を行った。練習前には森保一監督とDF吉田麻也(サウサンプトン)が公式会見に出席。質疑応答では吉田に対し、この日、現役引退を発表した元日本代表のGK楢崎正剛(名古屋)、DF中澤佑二(横浜FM)に関する質問も出た。

 名古屋の下部組織出身の吉田は07年から09年まで楢崎とともにプレー。中澤とは日本代表で一緒にプレーする機会こそなかったが、中澤の代名詞でもあった背番号22を11年アジアカップから引き継ぎ、日本の最終ラインを支えてきた。

「楢崎選手に関してはずっとあこがれの選手で、背中を追い続けてきた選手。中澤選手に関しても中澤選手が代表を去ってから同じ22番を引き継いで、ずっと背中を追いかけてきたし、今も正直、見えない背中を追いかけている感覚でいる」。国際Aマッチ89試合10得点の吉田に対し、中澤は110試合17得点。「試合数もゴール数も、まだまだ中澤選手に追いつけていない」というのは正直な思いだ。

「とにかく長い間お疲れさまでしたということと、これからまだまだ日本のサッカーに貢献していただきたいと思っている」。そうねぎらいの言葉を口にした吉田は、同じく昨季限りで現役を引退したGK川口能活(相模原)の名前を挙げ、「日本サッカー協会もそのキャリアを称えてこれからのセカンドキャリアをサポートしていただきたい。川口選手にも言えることだが、日本サッカーに貢献してきた選手を日本サッカー界全体でもっとリスペクトするべきかなと思う」と指摘。「お疲れさまでしたということと、これからも日本サッカーを一緒に成長させていけたらと思っている」と話した。

(取材・文 西山紘平)

●アジアカップ2019特設ページ

吉田麻也が流暢な英語を披露、公式会見でさすがの語学力発揮流暢な英語で質問に答えたDF吉田麻也

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流暢な英語で質問に答えたDF吉田麻也
 流暢な英語で意気込みを述べた。9日のアジアカップグループリーグ初戦でトルクメニスタン代表と対戦する日本代表は8日、アブダビのアルナヒヤーン・スタジアムで公式会見を行い、キャプテンのDF吉田麻也(サウサンプトン)が出席した。

 会見の冒頭、司会から英語で初戦に向けての意気込みを聞かれた吉田は英語で口を開いた。「4年前はUAEに負けて大きな失望を味わった。今回は新しい監督を迎え、新しいチーム、新しいメンバーになっている。ロシアW杯後、自分たちに対する期待は高まっているが、大会を楽しんで、トーナメントを通じて自分たちを改善していき、最終的にはタイトルを取りたい」。滑らかな英語での回答。日本代表の公式会見で選手が英語で話すのは過去にもほとんど記憶がない。

 その後は日本語やアラビア語での質問が続いたため、吉田は日本語で答え、広報担当者が英語に通訳したが、12年夏から6年以上も英国でプレーを続ける吉田がさすがの語学力を披露した。

(取材・文 西山紘平)

●アジアカップ2019特設ページ

本田に関する質問も…森保監督「彼自身が代表でのプレーを考えていない」会見で質問に答える森保一監督

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会見で質問に答える森保一監督
 9日のアジアカップグループリーグ初戦でトルクメニスタン代表と対戦する日本代表は8日、アブダビのアルナヒヤーン・スタジアムで公式練習を行った。練習前には森保一監督が公式会見に出席。海外メディアからは日本代表からの引退を表明しているMF本田圭佑(メルボルン・ビクトリー)に関する質問も出た。

「W杯後、代表から引退した本田がオーストラリアで活躍しているが、彼が代表にいないのは寂しいか」との質問に森保監督は「彼が日本サッカー界にとって偉大な選手であることに変わりはないことをオーストラリアで彼のプレーをもって示してくれていると思う」と、負傷するまでの8試合で5ゴール3アシストと結果を残していることを称えたうえで、「彼自身が代表でのプレーを考えていないというふうに思っているので、今の日本代表でプレーすることは現実的ではないと思っている」と淡々と応じた。

(取材・文 西山紘平)

●アジアカップ2019特設ページ

若手にのしかかる期待…麻也はプレッシャーを歓迎「戦えないとやっていけない」前日会見に登壇した日本代表キャプテンDF吉田麻也(サウサンプトン)

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前日会見に登壇した日本代表キャプテンDF吉田麻也(サウサンプトン)
 ロシアW杯で16強入りを果たし、森保ジャパン発足以降も親善試合で4勝1分。アジアカップに臨む日本代表には大きな期待が寄せられている一方、若い選手たちにはプレッシャーになることも想定されるが、DF吉田麻也主将(サウサンプトン)はそれに打ち勝っていくことを求めた。

 アジア杯初戦のトルクメニスタン戦を翌日に控えた8日、試合会場のアブダビ・アルナヒヤーン・スタジアムで前日記者会見が行われた。主将として登壇した吉田は「初戦に勝つことが大事」と強調。そのうえで「W杯とは違い、アジアの中では勝たないといけない状況。違ったプレッシャーがある」とアジアの舞台での難しさを語った。

 FIFAランキング50位の日本だが、アジア杯の出場国では上から3番目。現実的な目標として『優勝』というミッションが課されることになる。だが、「その期待の中で勝ち上がれるかが、優勝できるかを決めるポイントの一つ」と吉田。まずはグループリーグで普段どおりの戦いができるかどうかが重要になる。

 今大会に臨む日本代表メンバーは15人がアジア杯未経験の選手たち。FW大迫勇也(ブレーメン)、DF酒井宏樹(マルセイユ)、MF原口元気(ハノーファー)らロシアW杯の主力にとっても初めての大会だ。ただでさえ必勝が義務付けられるプレッシャーがある中、経験の浅い若手にはさらなる重圧が襲うことだろう。

 だが、吉田はそういった懸念材料を歓迎する。「期待はプレッシャーにも変わりうるけど、その中で戦えるようにならないと、今後のW杯予選でも、W杯でも、そしてこれからの選手キャリアでも戦っていけなくなる」と指摘。「そういうところに身を置いて戦うことが若い選手の成長につながる」と力強く語った。

 また、あえて『期待』を言葉にし、若い選手たちに意識させている様子。「多くの選手がヨーロッパで活躍したいと思っている選手たちなので、プレッシャーのなかで戦えないとやっていけないぞという意味で『期待』という言葉を使っているし、そういった期待の中で戦っていけるかどうかが日本サッカー界の次のステップになる」と自ら乗り越えていく姿勢を求めた。

 アジア杯を「今まで日本代表として戦ってきた人たちが作り上げてきた誇りや責任を、若い日本代表が新たに背負って戦う場。そういう意味でもこの戦いは非常に大きな戦いになる」と先も見据えた吉田だが、若手を突き放すつもりはない。自身は主将として、そして世界最高峰のプレミアリーグで戦うトッププレイヤーとして「経験のある選手がうまくサポートしながら大会を戦っていきたい」と支えていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

●アジアカップ2019特設ページ

日本vsトルクメニスタン 試合前日の公式会見要旨公式会見に出席する森保一監督とDF吉田麻也

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公式会見に出席する森保一監督とDF吉田麻也
 9日のアジアカップグループリーグ初戦でトルクメニスタン代表と対戦する日本代表は8日、アブダビのアルナヒヤーン・スタジアムで公式練習を行い、最終調整した。練習前には森保一監督がDF吉田麻也(サウサンプトン)が公式会見に出席した。

森保一監督
「アジアカップの初戦に向けて、チームとしてできる準備は選手もスタッフも日々、最善の努力をしてくれたと思っている。今の我々にできるベストな状態はつくってくれた」

―大会を前にプレッシャーを感じているか。
「オーストラリアが初戦で負けたり、タイがインドに大敗したり、昨日も韓国がフィリピン相手に1-0という難しい戦いを我々は見てきている。どの対戦国も力があるからこそ、このアジアカップに出てきていると思うし、我々はどのチームと戦うときも厳しい戦いを覚悟しながら最善の準備をしていかないといけない。大切なところは相手のことをリスペクトしつつ、我々がその試合で100%の力を出せるように準備することが大切だと思っている」

―W杯後、代表から引退した本田がオーストラリアで活躍しているが、彼が代表にいないのは寂しいか。
「彼が日本サッカー界にとって偉大な選手であることに変わりはないことをオーストラリアで彼のプレーを持って示してくれていると思う。彼自身が代表でのプレーを考えていないというふうに思っているので、今の日本代表でプレーすることは現実的でないと思っている」

―若い選手を多く起用しているが、リスクはないか。
「これまでの日本代表のことを考えたり、去年のロシアW杯の日本代表を考えたとき、私が監督になって経験の浅い選手が多く日本代表としてプレーすることになったと思っている。ベテランの選手をここで切り捨てて、新しい日本代表をつくるということではなくて、すべての選手、経験ある選手、ベテランの選手も含めて日本代表としての選択肢であると思ってチーム作りをしてきている。そこで若い選手たちに経験してもらって、日本サッカー全体のレベルアップをしていかなければいけないと思って若い選手を起用している。このアジアカップでこれまで経験の浅かった選手が自分の道を新たに切り開いて、ステップアップしていく意気込みをもってプレーしてもらいたいし、彼らがこの大会を通してステップアップすることで日本サッカー全体がレベルアップできると思うので、そういうことを監督として期待している」

―全員そろったのが6日だが、初戦で選手を選ぶ基準は。
「去年の国内キャンプからアジアカップに向けて準備してきたが、ケガ人等々のアクシデントもあったし、全体で練習できたことは満足のいく時間だったかというと、もっと時間があればなと思っていたが、与えられた時間、環境の中でいろんなことを考えて、最善のことはやってこれたと思う。もっと練習できればという部分ももちろんあるが、選手にリフレッシュしてもらうことが練習より効果があることと思ったり、そういうところはメディカル、コーチングスタッフ、チームとして考えたときに結論を出してやってきた。一つひとつ説明したいところだが、考えることが多くあるので、多くの判断の中で最善ということで進めてきた。選手を選ぶ判断材料としてもコンディションのところは一つ重要になると思っている」

●DF吉田麻也(サウサンプトン)
「(英語で)4年前はUAEに負けて大きな失望を味わった。今回は新しい監督を迎え、新しいチーム、新しいメンバーになっている。ロシアW杯後、自分たちに対する期待は高まっているが、大会を楽しんで、トーナメントを通じて自分たちを改善していき、最終的にはタイトルを取りたい」

―中澤選手、楢崎選手の引退が発表されたが。
「個人的にも特に楢崎選手に関してはずっとあこがれの選手で、背中を追い続けてきた選手。中澤選手に関しても中澤選手が代表を去ってから同じ22番という番号を引き継いで、ずっと背中を追いかけてきたし、今でも正直、見えない背中を追いかけているかなという感覚でいる。もちろん、試合数もゴール数も中澤選手にまだまだ追いつけていない。とにかく長い間お疲れさまでしたということと、これからまだまだ日本のサッカーに貢献していただきたいと思っている。さっき監督とも話したが、日本サッカー協会もそのキャリアを称えてこれからのセカンドキャリアをサポートしていただきたいし、それは川口選手にも言えることだと思う。日本サッカーに貢献してきた選手に日本サッカー界全体としてもっとリスペクトするべきかなと思うので、まずはお疲れさまでしたということと、またこれから日本サッカーを一緒に成長させていけたらいいなと思っている」

―4年間は厳しい終わり方だったが、今大会はどんな意味を持つ大会になるか。
「W杯と違ってアジアの中で勝たなければいけない状況、勝たなければいけない期待の中で戦うのはまた違ったプレッシャーになる。その期待の中で勝ち上がれるか、優勝できるかがポイントの一つ。そして、新しいチームが立ち上がって、これからまたアジアの予選を戦い抜く、もう一回W杯に出て結果を残すためのベースをつくり上げることが一つ。その2つが大きなカギになるかなと思う。先ほど出た選手たちだけでなく、今まで日本代表として戦ってきた選手たちがつくり上げてきたものをこの新しく若い日本代表がその誇りと責任を背負って戦う場だと思うで、その意味でもこの大会は大きな大会になると思う」

―グループリーグではオマーンやトルクメニスタンと対戦するが。
「ランキングで見ても日本より下のチームだと思うが、大会が始まってオーストラリアが負けたり、タイも大敗したり、韓国も大勝したわけではない。そういう意味ではとにかくどんなトーナメントも初戦は大事になるし、まずは初戦にしっかり勝つこと。それはW杯でも同じだったが、初戦に勝つことが一番大事になるし、予選を通してチームが成長していかないといけない。より成熟して、そのあとの戦いを戦えるように、まずはこのグループリーグを確実に突破することを目標にしている」

―期待はプレッシャーにもなると思うが、若い選手がその期待を力に変えるには。
「やはり期待イコールプレッシャーに変わり得る可能性はあると思うが、そのプレッシャーの中で戦えるようにならないと、この先、アジアの予選に関してもW杯に関しても、選手個々のキャリアとしても戦っていけなくなると思う。こういうプレッシャーの中で戦って、そういうところに身を置いて自分を少しでも成長させていくことが若い選手にとって成長につながると思う。これから欧州で活躍していきたいと思っている選手ばかりなので、そういう意味でもこのプレッシャーに勝たないと次のステップは踏めないぞという意味で、あえて期待という言葉を多く使っている。その期待の中で結果を出す難しさをこの大会を通じて克服できるようになることが日本サッカーの次のステップかなと個人的には思っている。もちろん、僕だけでなく、経験ある選手はそれをうまくサポートしながら大会を戦っていきたい」

(取材・文 西山紘平)

●アジアカップ2019特設ページ

長友との出会いに感謝する堂安「自分の弱さに気づかせてもらった」トルクメニスタン戦に向けて最終調整するMF堂安律

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トルクメニスタン戦に向けて最終調整するMF堂安律
 すべてが新鮮で、驚きの連続だった。宿舎で連日、DF長友佑都(ガラタサライ)と一緒にジムで体幹トレーニングに励むなど、ピッチ内外で濃密な時間を過ごしているという日本代表MF堂安律(フローニンゲン)。「僕自身、いろんなものを吸収したいと思っているし、あの人とトレーニングすることで自分の弱さに気づかせてもらって、自分も負けず嫌いなので、そういうトレーニングをして悔しくなっている部分もある」と打ち明けた。

 気づかされた「自分の弱さ」とは何か。「体もそうだし、メンタル的なところもそう」と答えた20歳のアタッカーは「考え方とか、頭の中をすべて変えないといけないと思ったし、これからの僕のサッカー人生において、いい出会いというか、本当にいい人に出会えたなと思っている」と、心身両面で大きな衝撃と刺激を受けている。

 毎日、朝食が終わると、堂安から「何時にジムに行きますか?」とメールが来ることを明かした長友は「すごいな、こいつの貪欲さは」と、その向上心の高さを絶賛していた。若手時代にインテルでチームメイトだったブラジル代表MFコウチーニョ(現バルセロナ)、クロアチア代表MFマテオ・コバチッチ(現チェルシー)の名前を挙げ、「能力的には全然劣っていない」と指摘。「彼はビッグクラブに行けるポテンシャルがある。これはお世辞でもなんでもない」と太鼓判を押した。

 こうした長友の言葉に「貪欲というか、言い方は悪いけど、そういう人たちを利用して、のし上がっていきたいと思うし、(長友)佑都くんもオープンな方なので、すごく聞きやすい」と、その野心を隠そうとしない堂安。「僕のこれからのトレーニングがすべて変わるんじゃないかなと思うぐらいの話をさせてもらっている」と、意識改革と肉体改造は着実に進行しつつあるようだ。

(取材・文 西山紘平)

●アジアカップ2019特設ページ

「テーマは圧倒すること」初のアジア杯に臨む原口の誓い試合会場で調整するMF原口元気

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試合会場で調整するMF原口元気
 攻守にわたって圧倒することがアジアタイトルへの道であると信じている。9日のトルクメニスタン戦を前に、日本代表MF原口元気(ハノーファー)は「良い緊張感と良いモチベーションで全員がやれていて、大会の初戦という良い感じがある」と意欲に溢れるチームの雰囲気を説明した。

 対戦相手のすべてが格上という状況で臨んだ昨夏のロシアW杯とは打って変わり、今回はグループリーグの全対戦国が格下。タイトルをもノルマと考える立ち位置にいるのが今の日本代表だ。原口自身にとっても、泥臭さこそ身上とばかりにピッチを駆け回ったロシアでの戦いとはすべてが自ずと変化している。

「W杯とは違いますね。僕らがチャレンジしていくという立場とは違って、しっかり勝っていくという戦いになると思う」。自分たちが主導権を握りながら勝っていこうというマインド。原口は「自分たちがアタックし続ける。ボールを持っているときもボールを持っていないときもすべての部分で圧倒できるようにする」と続けた。

 すでにW杯16強を経験している原口だが、アジアカップは初めてだ。ロシアの地で世界のトップ・オブ・トップとの現実的な距離を知り、さらなる高みを目指している中で迎える今大会を個人としてはどのように見つめているのか。原口はしばし考えてからこう言った。

「(ロシアW杯の)その先を見ているのですが、W杯で負けた悔しさを晴らすのが今の自分の一番の目標になっている中で、アジアではやはり負けられない。内容も含めてチームとして4年間積み上げていかないといけない。いろいろな難しいタイミングが訪れると思うので、そういうところで今のチームとして強くなっていく大会にしたいと思う」

 原口が考えているのは「敵がいるとしたらトルクメニスタンではなく、自分たちの中」。寸分の隙も見せずに、まずはトルクメニスタンを倒す。

(取材・文 矢内由美子)

●アジアカップ2019特設ページ

「ああいう作業が大事」酒井宏樹、“初戦は難しい”を前向きに消化初のアジア杯に臨むDF酒井宏樹(マルセイユ)

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初のアジア杯に臨むDF酒井宏樹(マルセイユ)
「試合が終わった後に『初戦は難しい』とは絶対に言いたくない」。アジアカップ初戦のトルクメニスタン戦を翌日に控えた8日、日本代表DF酒井宏樹(マルセイユ)が強調したのは『難しさ』との向き合い方だった。困難な状況に陥ることを恐れるどころか、「それを経験できれば」と前向きに受け入れる構えだ。

 どの大会を迎えるにあたっても指摘される「初戦が大事」「初戦は難しい」といった常套句。大会の立ち上がりが精神的に難しいというだけでなく、相手の情報に乏しいこと、また大会全体を左右する点からも広く語られてきた言葉だ。ただ、酒井はここで与えられた難しい状況をポジティブに受け止めている。

 チームの仕上がりを問われた際には「まだまだこれから」と満足な評価を与えなかった一方で、「難しい問題が起きるかもしれないけど、自分たちでピッチ上で解決していくことができる」と前向きに展望。「今まで上の人たちがやってきたことを、新しい11人で解決していきたい」とあっさりと語ってみせた。

 そんな酒井が「うまくいかないのがすごく良かった」と語ったのはキリンチャレンジ杯・ベネズエラ戦(△1-1)。渋滞で会場到着が遅れてアップ時間が十分に取れず、低調な立ち上がりを迎えたものの、選手交代で盛り返した試合だ。「ああいう作業をやっていくことが大事」とある種の成功体験として受け止めているようだ。

 FIFAランキング127位と明らかな格下のトルクメニスタンに対しても「間違いなく見下しているところは全くない」と油断はせず、真っ向からぶつかっていく構え。そして難しい状況が起きても、「ピッチ上で解決していくべきだし、ピッチ上で対応を決めていかないといけない。どのチームに対しても同じ精神状態」と心の準備はできている。

 だからこそ、自身の役割も「難しい状況を打開したり、防ぐことができればチームの勇気になる」と難局の突破にフォーカス。「声を出すということもそうだけど、僕にできることは素直にプレーすることなので、プレーで引っ張っていきたい」。フランスの名門で落ち着きを身につけた26歳は、自身初めてのアジア杯にも泰然自若で臨む。

(取材・文 竹内達也)

●アジアカップ2019特設ページ

「あの人のおかげで磨かれた」中島の離脱を惜しむ堂安、それでも揺るがぬ自信初のアジアカップに臨むMF堂安律

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初のアジアカップに臨むMF堂安律
 9日のアジアカップグループリーグ初戦・トルクメニスタン戦を翌日に控え、日本代表MF堂安律(フローニンゲン)は高ぶる気持ちを抑えるように言った。

「ワクワクしている気持ちが大半。その中でみんなの期待があるのは分かっている。それに応えないといけないプレッシャーも少し感じながら、いい緊張感を持っている」

 20歳にしてA代表のレギュラーを務める日本の新星は「チームとして優勝したいし、圧倒的な力で優勝できれば日本代表の株も上がる。アジアと言えば日本と言われるような結果を残したい」と意気込んだ。

 大会直前にMF中島翔哉(ポルティモネンセ)とMF守田英正(川崎F)が負傷のためチームを離れた。MF南野拓実(ザルツブルク)とともに2列目トリオを形成してきた中島の離脱について堂安自身、「いないのは痛い」と認める。

「(中島)翔哉くんのプレーは僕たちの武器だった。翔哉くんが持ったときの自分の動き出しは、あの人のおかげで磨かれた武器だと思っている」。左サイドで中島が起点となり、逆サイドから堂安がゴール前に入っていく形は一つの攻撃パターンだった。

「タメをつくるプレーは僕自身できると思っている。そういうことも意識しながらやっていきたい」と、これまで中島が担ってきた役割も果たす意欲を見せるとともに、中島に代わって追加招集されたMF乾貴士(ベティス)らベテラン選手の存在も大きいと話した。

「経験のある選手たちばかりで、好きなようにやらせてくれている。やりにくいとかも全然感じないし、僕たちは思い切ってやるだけかなと思う」。アジアカップを経て、ビッグクラブへのステップアップも目論む堂安は「タイトルを取ることで自分の価値も高まる。親善試合だけでは判断しづらい部分もあると思うので、(周囲の評価を)確信に変えられるようなプレー、結果を出していきたい」と誓った。

(取材・文 西山紘平)

●アジアカップ2019特設ページ

ボランチで先発も?冨安「大丈夫です」公式練習で汗を流すDF冨安健洋

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公式練習で汗を流すDF冨安健洋
 MF守田英正の離脱やMF遠藤航の発熱による合流遅れもあり、守備に軸足を置くタイプのボランチ不足が指摘されている中、日本代表DF冨安健洋(シントトロイデン)がダブルボランチの一角として先発する可能性が浮上している。

 9日のトルクメニスタン戦を前に取材に応じた冨安は、ボランチで出るためのイメージを持っているかと尋ねられると「大丈夫です」とキッパリ。「だれと組むかということ以前に、ボランチをやること自体、アビスパ(福岡)以来やっていない。でも、どこをやるとしても100%でやることは変わらないので、ポジションに関係なく思い切ってやりたい」とよどみなく答えた。

 森保ジャパンでA代表デビューを果たした昨年10月12日のパナマ戦からわずか3か月だが、報道陣に対する受け答えは確実に堂々としてきた。プレー面でつかんでいる手応えと同時に、ベテラン選手たちから授かっている日本代表としての心構えが若い心を大いに刺激しているのだろう。

 UAE入りしてからは練習前のアップでMF堂安律と一緒にDF長友佑都と3人でボールを蹴り合う姿がある。「(堂安)律もそうだと思いますが、良い影響を及ぼしてくれていると思います。僕はまだ20歳で、アジアカップは初めてですが、(長友は)W杯も経験していますし、余裕があるというか、僕にも練習が終わったあとにアドバイスをしてくれたり、ありがたいです」と頭を下げつつ、一流に到達するためのヒントを体感しているようだ。

 11年1月9日に行われたアジアカップグループリーグ初戦のヨルダン戦では、当時22歳のDF吉田麻也がアルベルト・ザッケローニ監督から先発に抜擢され、0-1で迎えた後半アディショナルタイムに代表初得点を記録。1-1で薄氷の勝ち点1奪取に大きく貢献して名を上げた。もちろん、そういう場面がなく、圧倒して勝つことが理想だが、ヨルダン戦からちょうど8年後のトルクメニスタン戦で冨安が名をとどろかせる可能性はある。

「トルクメニスタンの映像は見ましたが、相手どうこうより、僕たちのサッカーができればいいと思う」。20歳の若武者は堂々と答えた。

(取材・文 矢内由美子)

●アジアカップ2019特設ページ

「隼磨さんから…」シュミット、楢崎との“師弟関係”を希望GK楢崎正剛について語った日本代表GKシュミット・ダニエル(仙台)

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GK楢崎正剛について語った日本代表GKシュミット・ダニエル(仙台)
 4大会連続でW杯の日本代表メンバーに選出され、2大会でゴールマウスを守ったGK楢崎正剛(名古屋)が8日、現役引退を発表。GKシュミット・ダニエル(仙台)は「一緒にプレーしてみたかった」と惜しみつつ、「もし指導者になられるなら、指導を受けてみたい」と目を輝かせた。

 アジアカップ初戦のトルクメニスタン戦を翌日に控えた8日、順番制の取材対応を担当したゴールキーパーはシュミットのみ。必然的に同日に引退を発表した楢崎に関する質問を向けられると「間違いなく代表を引っ張ってきたGKの一人」と尊敬の念を示した。

 また「色んな人から楢さんの話を聞いていた」と言及。自身にとっては松本山雅FC時代の同僚で、楢崎とは名古屋で共にプレーしていたDF田中隼磨の名を挙げ、「隼磨さんから『一緒にやってみたら良いよ』と言われていた」と明かした。

 偉大な守護神と共にプレーするという願望は叶わなかったが、このまま国内トップレベルのGKとして成長を続けていけば、どこかで師弟関係が実現することもあり得るはず。そのためにも、自身にとって初の国際舞台となるアジア杯での活躍に向けて、「とにかく良い準備をして試合に向かうだけ」と気持ちを集中させている。

 これまでの親善試合では、GKの出番はほぼ横並びとなっており、現状の正守護神争いは不透明。「この大会に限れば自分が一番手を取ってやるという気持ちじゃなく、チームで優勝できることを考えてやるべき。そういうメンタリティーです」。チャンスを掴む時を虎視眈々と狙いつつ、ピッチ内外の両方で貢献する心構えをしているようだ。

(取材・文 竹内達也)

●アジアカップ2019特設ページ

まずは“自分たち”に焦点を…青山「相手を上回るイメージを示す」指揮官の意図を体現する日本代表MF青山敏弘(広島)

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指揮官の意図を体現する日本代表MF青山敏弘(広島)
「とにかくまずは自分たちのやるべきことをやらないといけない」。日本代表MF青山敏弘(広島)はトルクメニスタン戦を翌日に控えた8日、報道陣に向けてアジアカップ初戦に臨むにあたっての見解を示した。それは、森保一監督が強調しているという「全ては自分たち次第」という姿勢に通底するものだった。

 森保ジャパンは7日、チーム全員でのミーティングを実施。その際にはトルクメニスタンのゲーム映像を確認した一方で、森保監督は「相手を過小評価しないこと」「全ては自分たち次第」といった点を強調したという。そのメッセージは広島時代からの師弟関係にあたる青山にも伝わっている。

 この日、報道陣にトルクメニスタンの印象を問われた青山は「映像だけじゃ分からない」と指摘。相手は引いて守ってくることが予想されるが、「サッカーは守り切ろうと思えば守り切れるスポーツ。それを上回るイメージを示さないといけない」と自分たちのプレーに焦点を当てた。

 そこで重要になると考えているのが「相手を上回る技術とタイミング」だ。相手がゴール前を固めてきた場合、深く攻め込むボランチに攻撃の舵取りが託されるが、「そこは大変じゃない」とキッパリ「しっかりしないといけないのは確かだが、前に能力のある選手がいるので、そこまで運べばいい」と前線のタレントたちに全幅の信頼を寄せた。

(取材・文 竹内達也)

●アジアカップ2019特設ページ

[1月9日 今日のバースデー]

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Japan
GK廣永遼太郎(広島、1990)*正確で飛距離のあるフィードと飛び出しが武器のGK。
FWアデミウソン(G大阪、1994、ブラジル)*年代別代表に名を連ね、スピード、技術などを兼ね備える万能型ストライカー。

World
DFフアンフラン(A・マドリー、1985、スペイン)*ドリブルで積極的に仕掛けるSB。

Former
FWクラウディオ・カニージャ(元アタランタほか、1967、アルゼンチン)*元アルゼンチン代表。スピード溢れるドリブルが武器だった。
MFジェンナーロ・ガットゥーゾ(元ミランほか、1978、イタリア)*闘争心あふれるプレーでピッチを駆け巡ったMF。現在はミラン監督。

Others
岡本真夜(歌手、1974)
赤江珠緒(アナウンサー、1975)
伴都美子(Do As Infinity:歌手、1979)
金田美香(タレント、1984)
井上真央(女優、1987)

※Jリーガーは2018シーズンの所属クラブ

キーワードは『コトに向き合う』。24歳でプロ引退、会社員・井筒陸也の未来は…/ロングインタビュー第3回関西学院大を大学4冠に導いた異才は今後の会社員生活に生かす

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関西学院大を大学4冠に導いた異才は今後の会社員生活に生かす
 3年間所属したJ2徳島からの契約延長オファーを蹴り、会社員とアマチュア選手の“二足のわらじ”生活を選んだDF井筒陸也(24)。その決断の背景には、サッカー以外の世界で自らを試したいという欲求と、『コトに向き合う』というスポーツ界の文化があった。インタビュー第3回では、サッカーとの向き合い方、そして今後の展望を聞いた。(第1回第2回)>

—理念と現実と向き合うという意味では、サッカーのプレー中も同じですよね。ピッチ上ではどう考えていますか?
「まずプレーしてみて、うまくいかない時に論理に戻るってパターンはよくありますね。プロになって初めて4バックの左サイドバックがメインになって、最初は全くできなかったんです。『これ何でだろう』って考えたら、そもそものパターン認識が弱いって結論になりました。

 慣れたポジションだと『こういう時はここ、ここ、ここに選択肢がある』という感じなんですが、慣れていないポジションだと、パッと周りを見てから選択肢を探すのが難しいんですね。だから、うまくいかないときは『まずここでパスを受けたらだいたい縦は通るから、あとは斜めのコースと、相手の右サイドバックの裏に落とすパターンもあるな…』とか、だいたい3〜4パターンくらいに分類してやっていました。

 ただ、僕は試合の流れとか相手との距離とかを考えてやっていたんですが、言語化できない範囲では身体の中でもそういうことをやっているんです。また、そこを考えながらやっていない人もいるんですね。無我夢中でやってる感じで。でも、それでも成長する人もいるんです。言語化できていなくても。ただ、自分は最初に大枠で言語化して、準備しておいて、最初のコンマ何秒かを使えるのがいいんじゃないかなと思っています」

—それってよく『ゲームモデル』という概念でも言われる話ですね。井筒選手の言葉を借りれば、チーム全体に“パターン認識”を作るという考え方だと思うんですが、徳島の場合はどうでしたか?
「プロになってめっちゃ思ったのは、やっぱり戦術はあるなってことですね。ナリさん(成山一郎/元関西学院大、現Criacao監督)もすごく勉強していたので、もちろん戦術はあったんですが、プロに入ってから、特にリカルド(リカルド・ロドリゲス監督)になってからは、さらにめっちゃ勉強になりました」

—具体的に、どういった点ですか?
「えーっと、何がすごいのかな…。ポジショニングなんですかね。リカルドの戦術に限らず、プロに入ってすごい選手を見ていて思うんですけど、やっぱりみんなポジショニングがすごい。そこに立っていればボールを取られないとか、そこに立っていればきっちり守れるとか、そういう原則があるんですよね。アマチュアではそういう概念がありません。どう走るか、どうドリブルするか、という話が多いので。

 でもやっぱりプロのすごい選手は、相手と自分の立ち位置をイメージしながらプレーしています。ウイイレ(ウイニングイレブン)とかで、下のほうにピッチ内の図があるじゃないですか。あれを頭の中で動かしながらプレーしていて、ルックダウンしているからもちろん全体は見えてないんだけど、『自分がボールを持った時は相手がプレスをこうかけてくるから、いまはこういう形になっていて、ってことはここが空いているから…』という感じで見なくても出せるんです。

—難しそうに聞こえるんですが、できるものですか?
「『自分たちがこういうポジションを取ったら、相手がこういうポジションを取ってくる』ってのは、リカルドの中にイメージがちゃんとあったんですよね。戦術的に優れた監督はそれを持っているんじゃないでしょうか。『こっちがどういうポジションを取っても、相手がどう動いてくるか分かんない、想像できない』って人は先の展開を読めないんでしょうけど、リカルドは『このフォーメーションでこうなったら、井筒は相手の2人のフォワードについて、最終ラインの3枚でこうやって剥がすんだよ』と。

 まあ、僕もそこまではだいたい分かっているんですけど、『そこでドリブルで持ち上がったら、誰がプレスに出てくるか、そこの動きはこうだから』ってことをきちんと想像して、週の初めに言うんですよね。『ここが出てくるからこうなる、次はここにパスを出せば、きっとここが出てくる』って。なので、試合までの1週間はそれに基づいたビルドアップの練習をするという感じです。それを1年間通してやっていって、パターン的に覚えていました。

 ただ、そこでは人間性を問われるんですよ。人間力といいますか。上手ければいい、身体能力高ければいいって時代じゃないのは分かってるんですけど、じゃあプラスアルファで何が必要なのかって言うと、人間力なんだと思います。『こういう風に味方が動くはず』っていうのも、人間力がないと分からないんです。

 たとえば、後半になるとサボりがちな若手がいた場合、自分がトラップした時には『ああ、この時間帯だとアイツあそこにいないな』ってことが分かってくる。でも、独りよがりな人は『何でいないんだよ』って話になって、パスミスをしてしまう。

 チームの方針がそうであれば、その人の選択も間違ってはいないんですけど、チームの勝利を目指す上ではただのパスミスじゃないですか。そこは人間性とか人間力が重要で、それは育成年代から伝えられればいいなって例はたくさんありますね。プレーが全てじゃないなって思います」

—戦術を理解するのにも人間性が必要、ということですね。
「人間同士がやることなので、一番難しいのは戦術を覚えることじゃなくて、みんなでボールを運んでやるってことじゃないですか。それがつながった瞬間が面白いんです。前に知人から聞いたことがあるんですが、サッカー好きなMr.Childrenの桜井和寿さんも『サッカーって何が面白いですか?』って聞かれた時に『サッカーって、言葉を交わさずにイメージがシンクロする瞬間があって、それが楽しい』って答えているらしいんですね。

 他の競技だと、たとえば野球はもっと個人が強くなってくるし、アメフトになると今度は戦術がしっかり決まってるじゃないですか。サインとかもたくさんありますし。でも、サッカーは11人ずつで、プレーの変数も多くて、試合が始まったら90分間続けていかなきゃいけない。そのイメージを共有していくには、人間面の成熟とは切っても切り離せないものなのかなと思います」

—高校生、大学生の育成でも、戦術理解より人間性が大事だと思いますか?
「思いますね。結局は戦術も変わっていくし、流行り廃りもあります。僕は徳島での1年目のシーズン、42試合ずっとベンチ外でした。そこでグレちゃうかどうかって人間面の違いだけだと思うんですよ。グレたら終わりだし、グレたら何もできない。そういうのが人間的に備わっていないと、その上に何も積めないと思います」

—人間面って言うと『礼儀、礼節』、あるいは育成年代では『ゴミ拾い』など色んな要素で語られていて、言語化するのが難しいですよね。井筒選手はそれをどう捉えていますか?
「礼儀、礼節とかどうでも良いです。やっぱり、自分で考える能力じゃないですかね。自分で考えてゴーを出してればいいんですよ。たとえグレても。グレようと思ってグレてる人、『むしろここはグレよう』みたいな人なら(笑)。長い目で見た時に、それでも良かったってなると思います。

 でも、普通はグレる時って周りに流されるんですよね。『お前が試合に出られないのはおかしいよ』って周りに言ってもらったりとか、『こんな状況だと無理じゃん』って感情に支配されたりとか。自分の意識じゃなくて、もっと動物的なもので流されていると思います。

 でも、自分で考えられるような人は、周りにどう思ってもらうためにやっていこうとか、長期的な計画を持ってやっていこうとか、そこは何でもいいんですけど、そういった視点で行動できます。自分で考えていれば何でもいいし、荒くれ者がいても面白いし、みんながみんな礼儀礼節のもとで掃除をして、という必要性は全くないですよね」

—そのあたりはスポーツが「勝利を目指す」という前提にあることにも繋がってきますよね。井筒選手は『敗北のスポーツ学』として、そこまでの過程を重要視しておられましたが。
「その辺の解釈はすごく難しいと思っているんです。スポーツという文脈で話をする上では、結果はソリッドかつシャープなので。たとえば、音楽業界の人と話していると『音楽業界が気持ち悪いのは勝ち方がいっぱいあるから』っていうんですね。オリコンの売り上げ、CDの販売枚数ってものがあるけど、でもAKBグループのやり方は『あれは勝ちじゃない。自分たちはこういうふうに受け入れられているから勝ちだ』って批判があったりして。

 逆にスポーツは1-0、2-0とか結果がソリッドだし、そこで勝ち負けが表れます。もっとも、僕はいろんな勝ち方があってもいいんじゃないかとも思っていて、そこはどっちもどっちだなって思うんです。ビジネスも売り上げだけじゃなく、働き方ランキングとかいう指標もありますよね。スポーツは結果に堅い評価基準があるので、そこに別の価値があるのかをジャッジしていくことが重要になっていくのかなと思っています」

—結果という『コトに向き合う』一方で、何らかの価値、理念を実現していくという考え方ですね。
「スポーツはそのアンビバレントな感じがめっちゃいいなって感じていますね。プレーヤーではスライディングができるのかできないのかが問われますけど、マクロな視点で言えば社会や未来を感じながら理念を追うこともできます。そこを行ったり来たりできるのが重要だと思いますし、理念だけとか、現場だけじゃなく、相乗効果を与えることもあると思うので、楽しいなって思います」

—そういう点では、結果を問われるJリーガーが『理念』と向き合える機会ってあまりないんですかね。
「それは両方に言えますね。クラブがあまり期待をしていないし、選手もやんないほうがいいって部分があります。僕としては『いやいや、両方やったほうが相乗効果ありますよ』って思うんですけど。ただ、これから自分が両方の仕事を体現していけば、だんだんそういう風潮になっていくと思います。

 音楽業界の話で言えば『組織の意思決定にアーティストが関わっていないのが不思議で仕方ない』って話もあって、それは『クラブの経営に選手が関わるのが自然なんじゃないか』ってことでもあります。音楽業界ではだんだんレーベルの意思決定にアーティストが関わっている事例もあるようなので、サッカー界でも前例を作っていけば変わっていくのかなって思いますね」

—日本においては、前例を作るというのが大きいですね。
「僕がそれを実現することによって救われる人もいると思うんです。どの少年団や高校でも、僕みたいなことを考えている選手は1人、2人いたんですよね。今はその人間が陽の目を見ずに、マイノリティになっています。素晴らしいことを思っていて、言っていたりもするけど、『それはサッカーとは違うよね』って言われたりもします。

 そういう時に前例がないと、上で結果を出している人からマウントを取られたら何も言えないじゃないですか。自分もそういう思いを持っていたので、今回の意思決定もそうだし、これまで『いやいや、Jリーガーの中にもそういう人いるから』ってことを言ってきたつもりです。スポーツの価値基準として『これも大事だよね』ってことをやりたいし、やることで共感してくれる人もいると思うので、チャレンジしたいと思いますね」

—今後に向けて、具体的な目標はありますか?
「今まで夢とか立てたことがないんですよね。何事も差し迫って困ることが出てくるので、長期的なビジョンを描く暇もありませんでした。これからは『どういう基準で仲間を増やすか』という話に夢中になれるし、ここはそういう場があるので、やっぱり目の前の課題をひたすら解決しまくって、そこで葛藤していきたいです。自分はそういうのを20年間やり続けたら色々できるようになったので、そういう考え方でいいのかなと思っています。

 もちろんチームを関東1部に上げるとか、そういう目標はもちろんあるんですけど、そこは僕が言わなくてもみんな分かっているのであえて言いません。目の前の課題に向き合って、本を読み、人と会い、自分でも理念を実現していくということをやっていきたいです。サッカーとかスポーツってやっぱり素晴らしいし、それを信じているので、楽しくやっていけると思っています」

—ピッチ内の目標は…。
「プレーヤーとしてはないっすよ(笑)。生まれた時からないですね。こういう選手になりたいとか、こういうポジションやりたいとか、一度も思ったことないです。『やりやすい』はあるけど『やりたい』はないですね。サッカーをしたい人の中には『ひたすらやりたいポジションやればいい』って考え方もありますけど、僕は組織の中で必要とされるもの、自分が何をしたいかを逆算して、組織のリーダーシップをとって、その中でピッチにいる必要があったので。

 だからこそ、僕は頑張ってスタメンにならないといけなかったし、大学ではセンターバックにいたほうが全体が見えてよかったし、プロに入ってからは左利きで運べる選手がいなかったので、やたらドリブルばかりしていました。なので、ドリブルしたい、パスがしたいというのもなかったです。むしろ、そんなところにサッカーの面白さ、目標はないって思ってますね。もっとサッカーは面白いですから」

(インタビュー・文 竹内達也)
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