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GL最終戦で訪れた今大会初出場、“眠れる虎”FW谷大地(鳥栖U-18)が意地の一発「自分が必要ということを証明した」FW谷大地(鳥栖U-18)

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FW谷大地(鳥栖U-18)

[4.10 U17アジア杯GL第3節 日本 2-3 オーストラリア タイフ]

 4月10日、U-17日本代表はAFC U17アジアカップサウジアラビア2025のグループステージ最終戦を迎えた。U-17オーストラリア代表との試合は2-3の苦杯となったが、その中で確かな手応えを掴んだ選手もいる。

 途中出場で1得点を記録したFW谷大地(鳥栖U-18)だ。

「やっぱり最初と2戦目でノーゲームということでメンタルもキツい状況だったんですけど、切り替えて『3戦目が最後になるかもしれないし、頑張ろう』と、今日は朝から一所懸命準備してきた」(谷)

 谷は昨年の1次予選で初代表招集ながら全試合得点を記録してチーム内得点王になるなど、確かな存在感を見せ付けていた。ただ今大会は現地入り後に体調を崩してトレーニングも休むこととなり、「体力も落ちてしまった」(谷)ため、大会開幕後もベンチを温める状況が続いた。

 廣山望監督にとっては頭の痛い事態だったが、将来のある選手に無理もさせられない。復調に向けた個別のメニューも実施させながら状態を上げていく谷の様子をずっと見守っていた。

「コンディションを落としているので90分は厳しい印象がありました。ただ一方で『点は取るぞ』というのは匂わせていた」(廣山監督)

 オーストラリア戦の前日練習ではシンプルなクロスからのシュート練習などで圧倒的な精度を披露。「ヘディングは全部枠内に飛んだ」と本人が胸を張ったように、「自分の武器。誰にも負けないように練習している」と語るクロスボールに合わせるプレーで復調をアピールした。

「昨日の練習でハッキリと(状態を)戻してきていたので、『絶対には今日は使いたいな』と思っていた」(廣山監督)

 結果的にビハインドを追い掛ける状態での投入となったが、その期待に応える得点を記録する。後半41分、MF今井宏亮(東京Vユース)のクロスに反応し、しっかりゴールネットを揺らしてみせた。

「スペースも狭かったし、ワンタッチじゃないと難しかった。結構ギリギリで足に当たったんです。だからもう、マジで死ぬ気で伸ばしたんですよ、足を。もうちょっと足が短かったら入らんかった」

 そう言って笑った谷は、「今日証明したので。自分が必要ということを証明したんです」と熱く語る。体調不良で無念の離脱を余儀なくされ、ここまで戦力外のような扱いになってしまったことに深く傷付いていたのも無理はない。

 だが、「短い時間でも俺はできる自信があったし、死ぬ気でやったら絶対にできるというところをみんなに見せたかった」と、並々ならぬ覚悟をもって試合に入り、結果を出した。

 韓国生まれの韓国育ちで、高校から鳥栖U-18にチャレンジしている谷にとって、母の国である日本のユニフォームを着ての戦いには特別な意味がある。「死ぬ気で」という言葉を繰り返した様子からも、この試合に向けた熱い思いは伝わってきた。

 もちろん、この1点で終わるつもりも毛頭ない。

「サウジアラビアは難しい相手だと思うんですけど、スタメンで出ても出なくても一所懸命に頑張ることしか考えてない。どんだけ時間が短くてもゴールを決めることしか考えていません」

 このオーストラリア戦は、生粋のストライカーである眠れる虎が「死ぬ気で」目覚めたゲームとして記憶されることになるのかもしれない。

(取材・文 川端暁彦)

●AFC U17アジアカップ2025特集

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